【詩】わたしを作るもの

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【わたしを作るもの】 

 

 

身体中の無数にある細胞の中から

一つを選び、

その細胞を構成する無数の炭素原子の中から

一つを選び、

まず、彼に名前を聞いてみた。

 

 

すると彼は、

「名前? 名前とは何ですか?」と言った。

「他の炭素原子と区別するための記号ですよ」

と私が言うと、

「よく分かりませんが、多分持っていません。

どうして区別する必要があるのですか?

僕は僕で、僕はあなたです」

 

 

その答えが気に入ったので、私はクスッと笑って言った。

「あなたは私のところに来る以前、どこにいたのですか?」

 

 

彼は答えた。

「ある時はりんごの木でした。

ある時はにわとりでした。

またある時は空中を飛んでいました。

その時の友達は酸素原子二人だけでした。

ちょっと寂しかったけど、僕らはすごく仲が良かったのです。

ある時はクジラでした。

ある時は山の頂上にいました。

ある時は花崗岩だったし、ある時はいもむしだった時もあります。

一番輝いていたのは、ダイヤモンドだった時です。

一番輝いていなかったのは、多分灰だった時だと思います。

きゅうりだったり、まつぼっくりだったり、レンガだったり、

羊だったり、プロパンガスだったり、ひまわりだったり、

もう数え切れません」

 

 

「一番始めはどこにいたのですか?」

「よく覚えていませんが、みんな一緒でした」

「みんなって?」

「みんなみんなです」

 

 

私は目を閉じて空想してみる。

 

 

私はある時、りんごの木で、

またある時は空気で、

またある時はクジラで、山の頂上にいて、花崗岩で、きゅうりだったり、

ダイヤモンドだったり、ひまわりだったりしたのだ。

 

 

他の無数にある炭素原子にも聞いてみようかとも思ったけれど、

やめておくことにした。

 

 

ああ、どうやら

私は地球でできているらしいことが分かった。

 

 

 

2008/12/05

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